健康相談について

健康相談の概要や相談事例についてご紹介します。

健康相談とは?

「健康相談」とは、心身の健康問題を医師や保健師、看護師などに相談することです。

厚生労働省では『病気、健康診断結果、予防治療方法、その他の健康一般の問題に不安、疑問を持っている労働者に対して行われる健康に関する指導や援助であって、相談者が適切な指導・助言を受けることにより健康な生活を維持又は回復することを目的として医師や保健師等に相談すること』と定義しています。

「医師や保健師、看護師に相談」というと「病院に行って診てもらう」というイメージをもつ人もいるかもしれませんが、健康相談は身近なところで、そしてさまざまな形で提供されています。

<提供例>
・官公庁や自治体のホットライン
・健康保険組合、企業
・団体などの健康支援や福利厚生 
・クレジットカードや保険商品などの付帯サービス
・その他、ヘルスケアアプリや会員制サービス など

有料のサービスもあれば、相談料などがかからない無料のものもあります。相談方法は電話・ビデオ通話・チャットなどサービスによってさまざまですが、健康相談を利用すれば、自宅からでも医師や看護師、保健師などの有資格者にからだやこころの不調や病気について相談することができます。

当協会の加盟事業者では、企業、団体、自治体など様々な団体に健康・医療に関する相談対応を行っています。

急な発熱やケガの対象法を知りたいとき、具合がわるいけれど病院に行くか迷うとき、病気について何か聞いてみたいとき、そんなときには、身近な相談先としてわたしたち民間企業が運営する「健康相談サービス」をご利用いただければと思います。

#8000、#7119とは?

子ども医療電話相談事業【♯8000】とは

厚生労働省と各都道府県が取り組む事業で、休日・夜間の子どもの症状にどのように対処したらよいのか、病院を受診した方がよいのかなど判断に迷った時に、小児科医師・看護師に電話で相談できるもので、全国統一の短縮番号♯8000をプッシュすることにより、お住いの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院等のアドバイスを受けることができます。

※各都道府県別の実施時間は厚生労働省ホームページをご確認ください。

 https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html

救急安心センター事業【♯7119】とは

総務省消防庁と各都道府県が取り組む事業で、「すぐに病院に行った方がよいか」や「救急車を呼ぶべきか」悩んだりためらう時に、医師・看護師等の専門家に電話で相談できるものです。

実施エリアでは♯7119をプッシュすることにより、医師・看護師・トレーニングを受けた相談員が電話口で症状などを聞き取り、「緊急性のある症状か」や「すぐに病院を受診する必要性があるか」等を判断します。相談内容から緊急性が高いと判断された場合は、迅速な緊急出動につなぎ、緊急性が高くないと判断された場合は、受診可能な医療機関や受診のタイミングについてアドバイスを行います。

※各都道府県別の実施時間は総務省消防庁のホームページをご確認ください。

https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html

電話健康相談事例のご紹介

2022年にティーペック株式会社が実施した「わたしの電話健康相談エッセイ」の入賞作品より相談事例をご紹介します。

看護師だって自分の子供は不安なんです(M 島根県 42歳 女性)

私は看護師をしながら3人の子供を育てています。今は元気いっぱいの小学生になった子供たちも、3歳ごろまではそれぞれに急な発熱や発疹、嘔吐でハラハラさせられました。そんな時、母子手帳をもらうと同時に教えてもらった県の小児救急電話相談に、何度も救われた経験があります。

私の職場にも救急外来がありますが、夜間・休日の救急外来の医療者の忙しさは大変なものです。大変さは分かっていても、私自身、子供の病気の知識が全くなく、病気の我が子を前にしてどの程度まで様子を見てよいのか、迷う時もたくさんありました。

そんな時、短縮ダイヤル(今でも覚えているくらい覚えやすいものでした)を押すと、落ち着いた声の看護師さんが、子供の様子を的確に聞き取ってくださり、直ぐの受診の要・不要をアドバイスくださいました。

私の印象では、自宅でできる対処法をアドバイスしてくださることが多く、あまり受診を促されることはありませんでした。そのお陰で安心できたと同時に、幼い兄弟もいる中で、また翌日仕事に行かなければならない中で夜間に準備して出ていく必要がなくなり、本当に助かりました。

同じ医療従事者として、電話でアドバイスするのはプレッシャーが多いものです。電話口の医療従事者の努力や頑張りに敬意を表しつつ、システムのおかげで救われた一人として、感謝申し上げます。                     

転ばぬ先のワンコール(のんパパ 東京都 39歳  男性) 

昨年妻が出産のため、長男をおいて故郷の高知へ帰った。「離乳食、大丈夫?おやつ、あげすぎないでよ。やっぱり一緒に連れていこうか」心配そうに妻が言う。だが俺も俺で父親としてのプライドがある。「大丈夫。いいから任せとけ」それでも妻の顔は引きつっていた。

そんな不安が的中したのか、妻がいなくなってから長男に異変が起きた。どういうわけか食後、頬が真っ赤っ赤。体温計は37.5分を示す。これは大変だ。あいにく日曜日で病院はどこもやっていない。だけど妻に心配をかけるわけにもいかず、インターネットを検索した。『赤ちゃん 発熱 』に対するアンサーは100以上。読んでいたらキリがない。「そうだ。電話相談だ」私は妻から預かったメモを取り出した。

「すみません!いま七ヶ月の息子が熱っぽくて!日曜で病院はどこもやってなくて!奥さんは里帰りでちょっといなくて!それで、それで」口任せにしゃべりまくる。電話の向こうの声は完全にかき消された。

それでも「少し落ち着きましょうか」と言われ、ハッと我に返った。

「ではお父様。お子さんの月齢を教えてもらえますか」私は導かれるように月齢と今の症状を伝えた。

「まあ、このくらいならちょっと様子を見ていく感じで大丈夫でしょう。泣いたり、食べたりしたあとは体温が上がりますからね」「そうは言っても37.5分もあるんですよ!平熱が35.8分の私にしたら致死レベルですよ」私が畳み掛けるように言うと看護師はたったひと言。

「この月齢の赤ちゃんは平熱でも37度前後あるのが普通ですから」と言った。

途端に自分が恥ずかしくなった。息子が寝たあと、私はしばらく考えた。

そう言えば妻もよく電話相談を利用していた。真夜中でも胎動が弱くなればすぐ相談し、産後も様子がおかしければすぐ電話をかけていた。そんな妻を見ながら私は何も学ぼうとしなかった。息子の平熱はおろか、一般的な赤ちゃんの平熱すら知らない。そんな私を果たして『父親』と呼べるだろうか。

「今まで任せっぱなしで悪かった。君の大変さがよくわかったよ」自宅に戻った妻に私は謝った。

妻も驚きつつ、それでも「ありがとう」と労った。

現在、健康相談の番号はリビングの見えるところに貼ってある。人生山あり谷あり、思いもよらないこと沢山あり。そんなときにいつでも頼れる先があることは心強い。電話健康相談こそ、転ばぬ先の杖ならぬ、転ばぬ先のワンコール。これからも不甲斐ない父親の味方であり続ける。           

本当につながったもの(ゆーゆ 埼玉県 39歳    男性)

年の瀬の深夜1時。生後七ヶ月の子どもに異変が起きた。「何科に行けばいいの?」「とりあえず救急車じゃない?」「いや、救急車の人だってこれじゃ困るでしょ」はじめてのけいれんに夫婦で戸惑う。やがてけいれんは収まったが体温計は三十九度を示す。病院はどこもやっていない。

「すみません。子どもがけいれんを起こして、いま、熱があって、これは何科なのかわからなくて」早口でまくしたてる。その勢いは完全に冷静さを欠いていた。しかし幸いにも相談員の方は看護師でその道のプロ。「はじめてのけいれんでしたらこのあと救急を受診してください」その声は落ち着いていた。

何より助かったのは救急車を待つまでの間、電話をつないでいてくれたこと。

「吐いたものが詰まらないように身体を横向きにして下さい」「ボタンやチャックはゆるめてください」「顔色はどうですか。呼びかけに反応しますか」一つ一つに、思いやり。

おかげで私たちは落ち着きを取り戻し、娘は一命をとりとめた。

あとから聞くと『熱性けいれん』はちいさな子どもによくあるらしい。そうは言ってもあんなに震える姿を見たら、冷静ではいられない。はじめての事となれば、なおさら。あれ以来、ちょくちょく利用する電話健康相談。

今は何かあれば頼れるという安心感が半端ない。電話がつながり、命がつながる。そこで本当につながったものは絆なのかもしれない。これからも感謝の気持ちを忘れずに、娘の成長を見守っていきたい。ありがとう、電話健康相談!      

自分と大切な命のお守りに 電話健康相談 (A  鳥取県   30歳 女性)

待望の子どもを授かったばかりの頃、電話健康相談を利用しました。まだ初期の6週目で、子どもの心拍音も確認できていない頃でした。ですが、待ち望んでいた妊娠に、夫とともに喜び、幸せな時間を過ごしていました。

しかしある日の夜、生理の時のような出血がありました。どうして良いか分からず、通っている産婦人科クリニックも閉まっている時間だったので、強い不安に襲われました。

はじめはスマホの検索を繰り返していました。ネットには、多くの妊婦さんが経験することと書かれていましたが、一方で、「流産」の文字や、あらゆる疾患名が目に入り、どんどん不安は増していきました。そこで、以前から存在を知っていた、24時間対応の電話健康相談を利用しました。

ネットでは、一方向に情報を得ることしかできません。しかし、電話健康相談では、こちらの状況を伝えることができ、不安な気持ちを含めて話を聞いてもらうことができました。そのことがまず、大きな安心につながりました。そして、まずは安静にして、翌日にクリニックへ連絡をするようアドバイスをもらいました。翌日、かかりつけの産婦人科クリニックに連絡して、その日に受診することになりました。

そして、お腹の子どもが無事であることが分かりました。また、仕事を休んで安静にするよう、指示ももらえました。あれから半年近く経ち、今はもう妊娠8か月。お腹の子どもも1500gを超えるほど大きく、元気に成長しました。

これもあの時、電話健康相談があったからだと本当に思います。ネットの情報も、全てが悪いわけではないと思います。ですが、妊娠をはじめ、体の多くのことは、心と深くつながっています。情報にまみれて、不安が増してしまうのは、最も良くないことではないでしょうか。

また、ネットで情報を得て、「大丈夫」と自己判断してしまうことも、自分や大切な命を危険にさらすことになりかねません。私もそうですが、日ごろ病院に行き慣れていないと、受診のハードルが高かったりします。

そんな時、いつでもどこからでも、専門家に相談できる電話健康相談は、とても重要な医療資源になります。そして、必要な受診へ背中を押してもらうこともできます。お腹で子どもが動いているのを感じるたびに、命の大切さを思います。ご自分と、大切な誰かの命のお守りに。多くの人に電話健康相談の存在を知ってもらい、利用してもらいたいと願っています。                    

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2024年8月29日
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